役職主義を捨てる
私が考えている良くない考え方に「役職主義」というものがあります。
役職主義があると、視野が狭くなり、自分を卑下することにつながるためしんどいです。
(名前からどういった考え方かわかりそうですが、)この役職主義がなぜ良くないのかについて話していこうと思います。
【目次】
・役職主義とは?
役職主義とはどういう意味なのでしょうか。
これは私が考えた言葉で、「役職(肩書き)を重要視する考え方」のことです。
つまり、社長や課長といったラベルを非常に重要視するということです。
私は昔、この役職主義に陥っていました。
「社長は皆すべからく優秀であり、一般社員の私が対等に話せる相手ではない。」
「私のほうが役職が低いのだから、自分の上司には従うのが当然。」
しかし、今ではこういった考え方をしていると、生産的な議論や効率的な自己成長ができないということに気がつきました。
そのため、できるだけ役職主義に陥らないように気を配っております。
・役職主義の何が良くないのか。
では、役職主義は何が良くないのでしょうか。
それには大きく2つの理由があると考えております。
1つは、「自分のことを信じることができなくなり、指示待ち人間になってしまう」こと。
もう1つは、「自分の長所を伸ばす発想になりにくいこと」です。
それぞれについて理由を詳しく述べていきます。
①自分のことを信じることができず、指示待ち人間になる
まず、役職主義になると、自分より立場の高い人はみんな自分よりも能力が高い人だという錯覚に陥ってしまいます。
実際には、役職というのは組織を効率的に運営するために必要なために用意されているだけです。
だからこそ、業務に関していうと、上司よりも秀でたスキルを持つ一般社員はいくらでもいます。
しかし、役職主義では、自分の方がスキルや経験のある事例に対しても、「相手の方が総合的に優秀だから」と考えて、自分から発言することができなくなってしまいます。
自分の方がその仕事について理解しているのにもかかわらず、自分よりもスキルや経験のない上司からの指示に従い、四苦八苦することになります。
このときに、自分の能力と役職に関係がないことを理解できれば良いのですが、役職主義が強く染み付いている人にはそれができません。
結果として、上司が絡む案件では自分で考えて行動できない、「指示待ち人間」になってしまうのです。
②自分の長所よりも短所が気になる
先ほどは、上司を必要以上に崇高な存在にするために陥る状態になります。
今度は、自分自身を必要以上に卑下してしまうことによる弊害をお話しします。
役職主義になると、自分が一般社員、特にチームでもっとも下っ端になると、「自分はチームで最も能力が低い人間だ」と捉えてしまいます。
能力が低い自分がどこを目指すべきかというと、自分よりも能力の高い上司を目標にするはずです。
つまり、自然と上司のコピーをめざしてしまうのです。
上司のコピーをめざしてしまうと、自分の得意分野よりも上司の得意分野を上司のレベルになるように目指してしまうことになります。
しかし、人には個性があり、人それぞれ得意なことが違います。
そのため、上司と自分の長所が似ていない場合、短所を補おうと努力する羽目になるのです。
役職主義に陥ると、こういった個性を殺してしまうような方向性に、自分を推し進めてしまう恐れがあると、私は考えています。
・どうすれば役職主義を逃れられるのか
ではどうすれば役職主義を逃れることができるのでしょうか。
その方法を私なりに考えたものを3つ示します。
①同じチーム内で自分が頼られるような専門性を磨く
まずは同じチーム内で自分が頼られるような専門性を1つ手に入れることです。
チーム内で明らかに自分が最も得意な分野があると、上司もあなたに一目を置きます。
その結果、あなたの得意分野の仕事は、上司から、あなたが主導で行うように指示されるでしょう。
自分よりも優秀で偉いと思っている上司に指示されれば、役職主義の人間でも、自由に行動することができるでしょう。
その結果、良い成果を上げることができれば、その実績が自信になり、その分野に関しては役職主義を抜け出すことにつながります。
②自分しか知らない一次情報を多く持つ
①と同じ理由で、自分から知らないような一次情報を積極的に取りに行くこともおすすめです。
一次情報とは、誰にも加工されていない生の情報のことです。
世の中には誰かによって処理され、発信された二次情報が多く存在しています。
しかし、その情報は発信者の意図やバイアスが含まれていることが多いです。
そのため、一次情報には非常に価値があります。
上司が、立場的、時間的に経験できないような一次情報を手に入れることで、上司から情報提供を求められるはずです。
このように、上司にないものを自分で取りに行くことで、自分を唯一無二の存在にすることが役職主義から抜け出す方法だと考えます。
③多様な経験をし、複数の視点を持つ
これは少し時間がかかりますが、複数の視点を持つことは、役職主義から抜け出す最良の方法だと考えています。
この点について、元東京都知事で作家の猪瀬直樹さんが「ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法」でおっしゃっていたことを引用すると、以下の通りになります。
視点を変える、という経験がなければ本質は見えてこない。結果として、日本全体や世界の中から自分自身の存在も見えてこないんだということをわかってほしいのです。
(猪瀬直樹)
ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法(KADOKAWA)
自分自身の立ち位置を様々な視点から見なければ、本質は見えないのです。
役職主義は役職という構造に価値を置いてしまっている考え方のために、仕事の本質が見えていません。
その業務は誰のためになっているのか、何のために行っているのか、ということを理解することではじめて、その業務の価値や、必要とされている業務が理解できます。
この理解のためには、様々な立場で、多様な経験をする必要があるのです。
視点を変えるためには、現在自分がいる環境とは異なる環境に身を置き、その位置から様々なことを経験する必要があります。
どれだけそのことについて勉強しても、その手触り感は伝わりません。
ぜひ、多様な経験をして、役職主義という、小さな考え方を捨て去れるようにしていただきたいと思います。
・結局、必要なのは常識という考え方を捨てること
以前の記事で「常識」を捨てると生きやすくなるということをお話ししました。
今回の役職主義もそういった常識を持ってしまっていると考えられます。
大切なのは結局常識を捨て、精神的に自由になることなのです。
そしてそのためには、様々な経験をして、多様な価値観を持つことが必要です。
これは、ビジネス系人気YouTuberの「まこなり社長」も最近の動画でお話ししていました。
この動画は起業10周年を記念したイベントのプレゼンです。
2時間を超える、まこなり社長の人生を語った熱いプレゼンになっています。
お時間のない方は、最後の15分程度を見るだけでも、まこなり社長の言いたいことは伝わるかと思います。
この熱いプレゼンを見て、少しでも「自分の常識(固定観念)を捨てることが大切なんだ」と理解いただければ幸いです。
本日は以上になります。
ご覧いただきありがとうございました。