後回しにせず行動するコツ7つ
前回の記事で、常識という固定観念から抜け出し、精神的に自由になるためには、様々な経験をして多様な視点を得ることが重要だ、とお話ししました。
しかし、行動を起こし、様々な経験をすることは大変です。
人には現状維持バイアスという、現状を変えたくないという性質があるため、環境や行動を変えることを不安に感じるからです。
そのため、行動するために技術に「小さく始める」ということがあります。
「小さく始める」を含め、今回は何かを始める時のコツについて、説明していこうと思います。
【この記事のターゲット】
・何かを始めたいが、踏ん切りがつけられない方
・新しい行動に対して、不安を感じてしまう方
・何かをやろうと思っても、後回しにしてしまう方
【目次】
・現状維持バイアスとは
まず、現状維持バイアスについて説明していきます。
現状維持バイアスとは、変化や未知のものを避けて現状維持を望む心理作用のことであり、現状から未経験のものへの変化を「安定の損失」と認識し、現在の状況に固執してしまうという人の性質です。
現状維持バイアスは誰でも感じ得る人の性質です。
この現状維持バイアスにより、安定的な状態にいる人はその状態からの脱却を避け、未経験のことを行うことを嫌がります。
これは言い換えると、行動することにより得られる経験や仲間よりも、行動することにより生じる安定の喪失を大きく感じているということです。
行動経済学の分野では広く知られることですが、人間は得よりも損を重く感じます。
これはプロスペクト理論という行動経済学の理論の「価値関数」で表現されております。
例えば、1000円のお小遣いをもらった時の喜びよりも、1000円を落として失ってしまった時の悲しみの方が感情の動きが大きいのです。
また、人は未来よりも今を重視する傾向にあります。
ダイエットしないといけないのに、ついつい欲望に負けて食べてしまうことありますよね。
食べたらダイエットがうまくいかないことはわかっているのに、未来の自分のダイエットよりも、今の自分の食欲を重視して、行動してしまうのが人間の性質なのです。
そのため、未知のことに関して行動を起こす際にも、行動することで得られる未来のメリットよりも、その行動を決定する辛さから今、逃れることを重視して、行動を後回しにしてしまうのです。
行動経済学は、人の行動にフォーカスしている学問のため、行動変容のためのエッセンスが散りばめられています。
こちらの書籍なら、比較的簡単に読むことができますので、興味のある方は一度読んでみてはいかがでしょうか。
・行動するコツ7つ
それでは以下に、私の考える行動するコツを7つ示します。
難易度の低いものから、紹介していきますので、①から順に行動することをお勧めします。
①小さく始める
まずは「小さく始める」です。
物事を始めるときは、現状維持バイアスが邪魔をすることは先ほどお話ししました。
そのため、現状維持バイアスを刺激しないように、現状でも簡単にできることから行うことが望ましいです。
例えば、資格の勉強を始めようと考えているとき、いきなりユーキャンなどの講座を取ることはお金や時間にかなり投資してしまうので、現状維持バイアスが刺激され、行動が後回しにされてしまいます。
それよりも、まずはその資格についてネットで調べて見る、YouTubeで検索してみる、本屋でその資格の関連書籍を読んでみる、といったように自分のできることから始めることが良いでしょう。
そこで、自分が「やりたい」と感じたり、「できそうだ」と思ったら、参考書や講座の申し込みを行えば良いのです。
小さく始めることの最大のメリットは、悩む前に始めることができることです。
行動して、一度手を動かしてしまえば、現状維持バイアスが働くため、それを継続することは容易になります。
そのため「1分だけで良いから始めてみる」ということが大切なのです。
②軸足はそのままにしておく(ピボット)
軸足はそのままにしておく、というのは①とほとんど同じことを別の視点から言ったことです。
何かを始めるときに、「小さく始める」ためには、自分の今の生活をあまり変えないように行動する必要があります。
そのため、自分の今の仕事や状況を変えないで、行動していくことが重要になります。
自分の軸足は動かさずに、もう一方の足をコンパスのように移動させるイメージです。
これを「ピボット(pivot)する」と言います。
副業が流行っているのも、自分の軸足を動かさずに、新しいことができたり、新しいコミュニティに所属できるからですね。
③失敗した時の自分の状況を「自分に残るもの」で考える
次にマインドの話をします。
現状維持バイアスが強く働き、行動できない人の多くは、行動したことによる失敗を恐れているものと思われます。
そのため、この失敗に対する恐怖感を小さくすることが、行動に繋がります。
一般的なビジネス本では、「成長を軸にして、失敗を恐れずに行動する」という強者のマインドが書いてありますが、成長を軸としても、失敗は怖いため、ネガティブなことに過剰に反応する人は行動できません。
そこで、私は「失敗してしまったときに、自分に残るものを考える」ようにしています。
例えば、資格試験のために、お金を支払い資格講座に入ることを考えているとしましょう。
そのとき「もし資格試験に失敗したら、自分には何が残っているだろうか」と考えるのです。
もし、具体的に未来の自分をイメージできていないと、資格試験で合格できなかった場合に、お金や勉強に費やした時間などが無駄になると考え、行動ができなくなります。
しかし、失敗したときに自分に残っているものを考えると、そこまで勉強してきたことで得た知識や学習習慣はプラスされていますし、時間やお金が失われていても、大した問題でないことに気付くことができます。
このように、失うものに目を向けるのではなく、未来で目標が達成できなかったときに、自分に残されたものを見ると、自分が失敗した時の得るものと失うものを比較することができるので、合理的に考えて行動することができます。
もちろん、大きなリスクを伴う挑戦をするときには、未来も大きな変化が見られると思いますので、そういった場合には使うことができない手法にはなっています。
④軸を決めて判断し、「ジャムの法則」に従う
<a href="https://pixabay.com/ja/users/jarmoluk-143740/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=428094">Michal Jarmoluk</a>による<a href="https://pixabay.com/ja/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=428094">Pixabay</a>からの画像
行動するかどうか、判断をする際は自分が重要視する軸を決めておくことが大切です。
例えば、ものを購入するときは値段を重視するのか、性能を重視するのか、外観を重視するのかを決めておかなければいけません。
これは全ての情報を比較して合理的に判断することは、判断疲れを起こし、結果的に判断の後回しに繋がるからです。
これを説明するのに有名な「ジャムの法則」があります。
皆さんは、マーケティング業界で有名な「ジャムの法則」をご存知でしょうか。
「ジャムの法則」は、コロンビア大学で提唱された理論であり、同大学が行った実験に基づいています。
コロンビア大学は6種類のジャムと、24種類のジャムを店頭で試食販売し、その結果を調査しました。
すると、24種類のジャムを販売している場合の方が、多くの客が集まりました。
しかし、6種類のジャムを販売している場合、試食した方の30%の人がジャムを購入した一方で、24種類のジャムを販売している場合では、試食している方の3%しかジャムを購入しなかったそうです。
このように、購買率に10倍の開きがあったのです。
この結果から、多すぎる選択肢は選択者に過度な選択ストレスを与えてしまい、選択者は選択をやめてしまう、ということがわかりました。
そしてこれを「ジャムの法則」と呼んでいるのです。
皆さんも、何かを行おうと計画しているときに、「後悔がないように入念に調べれば調べるほど、その事柄を決められなくなっていった」ということがあるのではないでしょうか。
行動をするときには、行動に移すか、行動しないかを判断する必要があります。
しかし、判断のために情報を集めすぎると、行動できなくなってしまうのです。
これと似た意見は、安宅和人さんの著書「イシューからはじめよ」でも述べられています。
調べることは重要ですが、調べすぎると自由な発想ができなくなるのです。
そのため、調べすぎないように行動に移すかどうかを決める軸はあらかじめ決めた上で情報収集を行いましょう。
⑤ゴールから逆算して考える
ここから2つは『「後回し」にしない技術』に記載のテクニックを紹介します。
まず、ゴールから逆算して考えるという事です。
ゴールを設定するとその達成のために目標を設定していく必要があることは以前、説明しました。
このようにゴールから逆算的に考えると、今始めないと間に合わないということがわかり、行動意欲が出てきます。
⑥開始の締め切りを設ける
さらに、締め切りを終わりの締め切りだけでなく、開始の締め切りを設けるということが効果的です。
みんな、締め切りを設定しますが、結局「後回し」にして、締め切りギリギリまで開始しないということがあります。
そこで、終わりの締め切りだけでなく、開始の締め切りも決めておけば、後回しにせず、行動を始めることができるのです。
⑦やめることをルール化する
最後は、キングコングの西野亮廣さんが行っていることで、「うまくいっていることを辞めることをルール化しておく」ということがあります。
人は行動し新しい価値観を得ることで、成長します。
しかし、そのためには今、うまくいっている事を捨てる必要があります。
これは「夢を叶えるゾウ1」でも言われていることで、何かを新しく始めるなら、何かをやめる必要があるのです。
逆に言えば、何かをやめたら、そこに何かが入ってきます。
テレビを見るのをやめたら、テレビを見ていた時間に読書が入ってくるかも知れないし、トレーニングを行うことになるかも知れないのです。
これを効率的に行うためには、一年に最低1個はうまくいっていることを捨てる、と決めることです。
ただ、このようにうまくいっていることを捨てる選択をするのは、強者のマインドで難しいと感じたので、最後に紹介させていただきました。
いかがだったでしょうか。
今回の記事は、自分もまとめていて非常にためになりました。
もし皆さんにも、参考になることがあれば幸いです。