人との付き合い方
今日は「人との付き合い、すなわち友人、恋人、そしてその先の結婚について」今考えていることをお話ししようと思います。
(今回は完全に自分の考えアウトプット編です。
筆者の一意見として読んでみてください。)
【目次】
◆人との関わり方一般について
・「他人の気持ちに共感する」というのは人が生きていくために必要な能力
人間は生活の多くの時間を集団として過ごしています。
狩猟採取時代では大勢で協力して食料を確保し安定した生活をしていくために、集団を構成する必要がありました。
現代になると、世界はさらに広がり、世界中の方々と繋がりながら生きていることは、以前「君たちはどう生きるのか」の「人間分子の関係 網目の法則」でご説明しています。
このように人と協力して活動するため、私たちの脳は相手への共感や同情を可能にしました。
これはミラーニューロンという神経細胞によって行われていると考えられています。
この神経細胞は自分が何らかの行為をしている際に反応を示しますが、自分以外の誰かが自分と同じことをしているときにも、同じように反応するという特徴を持っています。
この神経細胞が働くと、相手との関係性の間に結びつきを感じることができます。
また、相手の行動を真似して、行為を学習することもできるのです。
さらには、ミラーニューロンはこの特徴を使い、相手が何を考えているかを読み取るサポートも行ってくれます。
ミラーニューロンはサルで発見され、人間でも存在することが発見された神経細胞なので、霊長類にしか見られない、もしくは霊長類に特に発達している神経細胞なのでしょう。
進化の過程でそのような機能が残ったということは、その方が生存に有利であったからだということができるため、相手との結びつきを感じ、共感ができるということは、人が人であるために必要な機能の一つである、と言うことができると思います。
実際、敵から身を守る必要のない現代においても、人との繋がりが寿命に関係しているという研究結果は多く見られております。
社交的な人が長く健康に生きることができますが、孤独だと、病気になり早死する可能性が高いということです。
・ストレスや不安も他者と関わっていくための性質である
このようにお互いがお互いを助け合って生きていく性質を強く持つ社会であれば問題はないかもしれませんが、人間はその性質や環境、知識の違いなどから同種である人間同士で争いを続けてきました。
そのため、安定的に暮らせるようになった人間が、安全に暮らすために次に対策するべきは、人間からの攻撃でした。
人は自分に害のある人間を見極めるために、自分に危害を与えかねない人に対してストレスを感じるようになっています。
ストレスを感じる機構は人間だけに備わっているわけではありません。
鳥やトカゲ、犬や猫なども根本的には同様のシステム、すなわちHPA系でストレスを感じています。
HPAとは、視床下部(Hypothalamus)、下垂体(Pituitary)、副腎(Adrenal glands)の頭文字のことです。
つまり、HPA系とは視床下部ー下垂体ー副腎のつながりのシステムのことを指します。
視床下部という脳の内側の部分は、体の内分泌(ホルモンなど)や自律機能の調整を行う中枢です。
その視床下部から下垂体へ信号が送られると、下垂体は様々な物質を放出し、ホルモン分泌の調整を行います。
その物質の中に副腎に機能するものがあり、その物質は副腎からストレス物質のコルチゾールを分泌させます。
コルチゾールが分泌されると、心臓の鼓動が速くなり、体温が上昇し、睡眠や消化が後回しにされ、性欲が減退します。
危険から身を守るとき、筋肉に血流を回し、逃げるか闘うかの行動を行うためです。
この行動の発火装置は「扁桃体」と呼ばれる脳の内側に存在するアーモンド状のエリアです。
扁桃体は危険を感知すると、その刺激を視床下部に伝え、HPA系を発火させ、身体に血流を回します。
このシステムは不快な感情にも繋がり、人と人とが共生するために必要な機能だったと考えられます。
それは、自分にとって嫌な行動をする人間を嫌だと理解できないと、その点を指摘したり、その人から離れることができなくなるため、共同生活が難しくなるからです。
これらの内容はアンデシュ・ハンセンの「スマホ脳」にて記載されています。
スマホがこの脳の構造をどのようにハックしていくのか知りたい方は、同書を読んでみてください。
・他人の靴を履いてみる
ミラーニューロンによる共感やHPA系によるストレス機能を用いて、人が共同生活できるのはせいぜい150人程度だと言われています。
実際に狩猟採取民族などでは最大150名程度の集団を形成しており、それ以上大きい集団は見られなかったと言われています。
しかし、現代では自分と姿や言語、環境が大きく異なる人たちとの関わりも求められるようになりました。
その機会に多寡はあるものの、これが現代に生きる私たちの、ストレスの一つの原因になっているのではないでしょうか。
これまで説明してきたように、人と関わるということは、本能的な欲求であると同時に、ストレスを伴うものです。
そのため、自分と、性別や体格、文化の違う方々と関わる際にストレスを感じるのは、ある種当然のことなのです。
しかし、現代社会において充実した役割を果たすためには、これらの人々への相互理解に関する知識やスキルが求められております。
そのために、色々な教育がおこなわれていたり、相互理解に関する本が出版されているかと思います。
このスキルの中で、特に必要とされているのが「empathy(エンパシー)」でしょう。
エンパシーとは、日本語では「共感」「感情移入」などと訳されていますが、これでは「シンパシー」と似た意味になってしまいます。
英英辞典などではsympathyは「誰かを可哀想だと思う感情、誰かの問題を理解して気にかけていることを示すこと」と説明されています。
つまり、感情や行為を示す言葉なのです。
一方でempathyは、「自分がその立場だったらどうするだろうと想像することによって、誰かの感情や経験を分かち合う能力」と説明されており、能力を表す言葉だということがわかります。
人は往々にして、自分の経験や立場に依存して物事を話す傾向にあります。
これはその方が楽だからです。
しかし、昨今の社会で求められるのはempathyのように、自分が経験することのできない立場の人たちに対し、理解を示す能力だと言われています。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ではこのエンパシーを「他人の靴を履いてみること」と端的にいい表しています。
これは英語の定型表現なのですが、インターネットが発達し、他者と容易につながることができるようになった現代では、こうした感覚が非常に重要になってくると考えます。
・大事なのは「課題の分離」と「自分の影響の範囲に集中する」こと
ここまで話してきたことをまとめましょう。
まず、人が他人と関わりたいという性質は、人間の本能的な欲求であり、社交的に他者と関わることが、健康的に生活する上で必要なものなのです。
しかし、人と関わるためには、「嫌だ」ということを相手に伝え、良好な関係を築くために、ストレスを感じる必要もあります。
これが一緒に過ごしていてストレスを感じることが少ないなら良いですが、人は自分と相違点が多い人との関わりの際には、強いストレスを感じます。
しかし、現代社会では多種多様な人との関わり合いが求められているため、簡単にこれらの交流を避けることができません。
そのため、相手のことを理解するエンパシーという能力が必要になっている、ということをお話しました。
ここまで聞いてみると、相手の気持ちを配慮して行動できる方の生き方ってなんだかすごいストレスフルだと思いませんか?
人と関わるときに、どうしてもストレスはかかるのに、そのストレスを素直に表出することができないなんて。
だからこそ、私は「課題の分離」と「自分の影響の範囲に集中する」ことが重要だと考えています。
「課題の分離」とは、ある出来事に対する反応を自分の課題と相手の課題に分ける、というアドラー心理学の考え方です。
アドラー心理学は「嫌われる勇気」で有名ですね。
相手に怒ってしまった後、相手に謝るのは自分の課題ですが、相手が許してくれるかどうか自分がどう頑張っても相手の問題です。
このように、自分ができることは何なのか、自分にできないことは何なのか、を分けて考えることが非常に重要なのです。
次に、「自分の影響の範囲に集中する」ことが重要です。
先ほど分離した課題の中から、自分の課題、つまり自分が影響を与えることができる範囲の行動に集中するということ、が重要になるのです。
例えば、私が誰かといるときに、私の価値観にそぐわない行動を、その方が行った場合、強いストレスを感じてしまうでしょう。
(私の場合なら、「道にゴミをポイ捨てする」、「自分の恋人を召使いのよう扱う」にとかでしょうか。)
そこで自分の影響の範囲に集中できていれば、相手にその行為が嫌だと伝えることや、そのことを忘れて別の行動をする、など相手に必要以上に期待しない行動を取るでしょう。
しかし自分の影響の範囲に集中できていない場合、その人がそのような行動をするのに納得がいかず、相手を叱責したり、悶々とした思考を反芻することになってしまうかもしれません。
(脳疲労が溜まった場合では、私もそのようになってしまいます。)
また、自分が行ってしまったことに対して、相手がどう思うか、ずっと不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
これらは、自分の影響の範囲の外で悩んでしまっており、完全に相手に反応してしまっています。
相手に反応してしまうと、自分で感情や行動を制御できないため、ストレス反応は大きくなってしまいます。
相手の行動に対して自分の行動を変えるのではなく、自分の手綱は自分で持って置くことが必要なのです。
前回の記事で、同じストレッサーに対しても、人によってストレス反応は異なり、それはスキーマなど、自分の考え方に依存するということをお話ししましたが、それと同じことです。
・もしそれでも反応してしまったら…
ただ、すぐには反応しないようにすることはできないでしょう。
自分の価値観と違う行動が認められない時も多いでしょう。
その際には、マインドフルネスを行いましょう。
マインドフルネスには前頭前野の血流を増加させ、この領域を活性化させる作用があります。
前頭前野の、特に前頭眼窩野は扁桃体の活性化を抑える領域なのです。
そのため、不安やストレス反応をより小さくする効果があると考えられます。
また、DMNが抑制されるので、反芻思考による脳の疲労感なども軽減されます。
◆恋人・結婚
では、より密接な関係の恋人に関する話をしていきましょう。
と言っても、友達関係と恋人関係の大きな違いは気持ちくらいじゃないでしょうか。
これって、ドーパミンのせいなんですよ。
・恋人との付き合い方
皆さんは恋人についてどのような考えを持っているのでしょうか。
私は、恋人には恋愛感情を抱いて付き合うことが多いですが、最終的には「異性の親友」という立ち位置を付与することを目指して、付き合いをしています。
これは恋人も一人の自立した人間であり、その行動や考えは容易に変更できるものではない(そうした行為は自分の影響の範囲の外にある)と考えているからです。
長期的にみた時に、恋人との付き合いの中でうまくいかなくなる原因の多くは、「相手が自分の考えの通りに動いてくれない」からだと思います。
例えば、「付き合うまでは連絡をまめに取り合っていたのに、付き合って半年が経って、こっちから連絡しないと連絡してくれなくなった(まめに連絡をし続けるのを期待しているが、そうしてくれない)。」とか「どんどん束縛が激しくなってきて、窮屈だ(もう少し自由に行動したいのに、相手がそうさせてくれない)。」など。
そして、一緒にいるのが辛くなったり、相手への気持ちが尽きて、結果として別れる。
こんな流れじゃないかと思います。
ただ、この相手を友人に置き換えて見ましょう。
相手が友人であれば、ある程度の信頼感をもちつつ、相手への敬意を払うかと思います。
あまり、「どうして俺のいう通りに行動してくれないのか」「なぜ私の考えを理解してくれないのか」などと友人に詰め寄ることはないかとおもいます(これをしょっちゅう行なっていると、友人からも嫌われてしまう可能性があるので…)。
では、なぜ恋人と友人でこの差が生じるのでしょうか?
これは相手に対する配慮の必要性の有無によるものだ、と私は考えております。
二人の恋愛感情が燃え上がっている間は、相手の欠点すらも美しく見えるので、こうした配慮がなくても関係は良好なままいられるかと思います。
もしくは、相手に欠点を見せないように気を張っていても、苦にならないのかもしれません。
ですが、恋愛感情というのは、報酬物質のドーパミンが放出されている状態に過ぎません。
しかし、ドーパミンの放出はいずれは減少してきます。
一般的に、恋愛感情をもつ相手に対する、ドーパミンの放出は2~3年程度で落ち着いてくると言われております。
そのため、多くのカップルは2~3年以内に結婚しないと、恋愛感情を消失して、別れてしまうのですね。
恋人関係に慣れてくるとどうなるのか?
それまで美しく見えていた相手の欠点がそのまま欠点に見えたり、相手に見せないように努力していた欠点を相手の前で晒すことにつながるでしょう。
結局、恋愛感情だけではうまくいかないのです。
大事なのは、お互いの価値観の擦り合わせを行い、良い関係を継続できるようにお互いがお互いの幸せを願うことです。
これはどちらかが自分のことだけを考えてもいけないので、非常に難しい作業です。
脳科学的にいうと、脳の中ではオキシトシンが放出される状態になります。
あなたがいてくれるだけで幸せ、あなたが幸せなら私も幸せ、というような状況はオキシトシンによるものだと言えます。
価値観は不変のものでもないですし、一様なものでもないため、擦り合わせは大変です。
どうしても譲れない部分は誰にでもあるものです。
恋人であっても他人ですからね。
価値観が違うのは当たり前です。
ただし、恋人関係になった後に、このような擦り合わせを行わずに長く過ごすと、二人の間には相手に対する固定観念が出来上がっていくことになると私は考えます。
この固定観念が、「相手は自分とは異なる人であり、尊重すべき相手だ」ということを忘れさせてしまいます。
結局、大事なのは恋愛感情を抱く相手に対しても、友達関係と同じように、相手の価値観を尊重し、そして「相手の靴を履いてみる」という共感力もって接することだろうと考えております。
・相手にイライラした時の対処法(エクスプレッシブライティング)
それでも相手にイライラしてしまう時はどうしてもありますよね。
前に書いた通り、自分と異なる考えを持つ人が一緒にいる場合は、ストレスも必ず生じるのです。
そうしたとき、そのことを忘れようとすると、逆に人間はその記憶を強く保持してしまいます。
この現状を確かめた実験を「シロクマの実験」と言います。
シロクマの実験は以下の内容で行われました。
まず、シロクマの一日を追ったドキュメンタリーを3グループに分けた被験者に見せます。
その後、グループAの被験者には「シロクマのことを覚えておいてください」と指示を出しました。
グループBの被験者には「シロクマのことを考えても考えなくても良いです」と指示を出しました。
グループCの被験者には「シロクマのことは絶対に考えないでください」と指示を出しました。
そして、一年後シロクマのことを覚えているか各グループの被験者に尋ねました。
すると、最も鮮明に覚えていたのは、なんとグループCだったのです。
このように私たちは忘れようとこだわっていることほど、皮肉なことに忘れずにいるものなのです。
そのため、このような忘れられない嫌な感情に対し必要なのは、そのとき抱いた感情を整理することなのです。
これを行う方法がエクスプレッシブライティングです。
エクスプレッシブライティングでは、その嫌な感情を文章化してみます。
メモ帳など、真っ白な紙に、自分の頭に浮かんだことをそのまま書き出してみましょう。
すると、そのとき抱いた感情が明確になり、整理することができます。
そして、感情を整理することにより「そんなこともあるか」「そんな人もいるか」とその出来事を許すことにつながるのです。
ゼロ秒思考で記載されている内容も同様のことで、自分の気持ちを白い紙に書き殴ります。
また自分の考えを文章化して、書き出す作業は、認知行動療法において、自分の状況を把握するためにも重要な行為です。
結局自分のことを癒せるのは自分です。
これはドラゴン桜でも言われていましたが、真理だと思います。
そして、自分を癒すという行為は、不完全な自分を許すということです。
人間は不完全なものとして認め、そんな相手も、そんな相手に苛立ちを感じる自分も、許してしまいましょう。
・結婚に夢はあるか?結婚したことで手に入るものは現実的なもの
恋人関係がさらに発展すると結婚を考えることがあるかと思います。
ただ、結婚って、皆が行なっているからやりたい事から、選べるオプションのような選択肢になってきているように感じます。
事実婚、独身貴族、同性婚など多様な選択肢が出てきましたよね。
ですが、結婚を切望する方が多いのもいまだ事実です。
私もその一人です。
ただ、私の考えは皆さんと多少異なるかもしれません。
ここで質問なのですが、結婚で手に入るものって何でしょう?
「幸せな家庭を築く」、「お互いを支え合う生活」、「ロマンチックな思い出の結婚旅行」とかでしょうか?
個人的見解ですが、現代では、これらは結婚しなくても手に入れられるものだと思います。
夫婦という形に縛られたく無いから籍を入れずに事実婚状態になっても、これらのことはできますよね。
これを考えると、実質的に結婚で得られるのは、現実的なものなのではないでしょうか。
そこで、結婚で得られるものを具体的に5つ挙げてみようと思います。
1. 家族手当/扶養手当が支給され所得が増える
会社や企業に勤めている場合、結婚することで家族手当や扶養手当がプラスされます。
私の前職の同期にはこれをもらうために大学生の内に結婚している人もいました。
2. 配偶者控除を受けられる
どちらかが働いていて、もう一方が無職または年間の給与所得が103万円以下の場合には「配偶者控除」が受けられます。
3. 扶養になれば国民年金の支払いも不要に
扶養に入ると、その人は国民年金の支払いが不要になります。
結婚により、金銭面のメリットが大きいことがわかります。
4. 病院での手術同意・面会・死後の葬儀・納骨など
事実婚の方だと、契約などを交わしていないと病院での手術同意や面会などができないようです。
事実婚などでは、書面上、家族だと証明できるものがないので、家族だと第三者に理解してもらわないと享受できないメリットが受け取れないようですね。
5. 生命保険の受取人
生命保険の受取人にもなりにくいようです。遺言書などがあれば大丈夫なようですが、不安材料は残ります。
結婚で得られるものって、金銭的な部分に偏っているようにも見えますね。
これは、結婚制度がそもそも明治民法により、庶民の結婚に「家制度」や「家父長制度」に取り込まれたことが原因のようです。
この制度により、妻の経済的自立と自由が奪われることが当たり前になってしまいました。
そして、その妻をサポートするために上記のような制度が設けられたと考えたら納得いくのではないでしょうか。
・結婚相手は選べる家族という夢はある
そんなことを言ってきましたが、私の大好きなアーティストのsumikaさんはFamiliaという楽曲のインタビューの際に、「結婚する相手は選べる家族」だと表現していました。
せっかく選べる家族なら、良好な関係を築いていきたいですよね。
ただ一方で、上で説明したように、相手は他人であることを忘れてはいけません。
他人であり、家族である、という一見矛盾したこの関係が恋人や結婚相手に求められます。
だからこそ、恋人や夫婦であっても、相手の立場に立って話してみることや、嫌なことを擦り合わせておく必要があると考えています。
その土台があった上で、お互いを尊重し、信頼しあった良好な家族関係が構築できるのです。
これらの話はさわぐちけいすけさんの「妻は他人 だから夫婦は面白い」などに記載されています。
素晴らしい考えですよね。
・お互いがWin-Winになるところを目指す
友達関係や、恋人、家族関係を構築するときに、重要なのが、Win-Winの関係を作るところだと考えています。
どちらかが損をする関係は長続きしないですよね。
だからこそ、一番重要なのは「相手のことを理解しようとする」ことです。
相手のことを理解するって、当たり前のようにも感じますが、めちゃくちゃ難しいです。
正直、完全に理解することなんて誰一人できないと思います。
(だからこそ、自分で自分を癒せる必要があるのですが…。)
だからこそ、理解しようとするという姿勢が重要になります。
ただし、ここに注意点があります。
あなたが、相手のことを理解しようとして話を聞くとき、自分の考えや経験に当てはめて考えようとしていませんか?
話を聞いて、「そういう考えの人いるよね。でもそういう時には…。」とか言っちゃってませんか?
これをおこなってしまった時点で、あなたは相手そのものを理解できなくなってしまいます。
自分の価値観の中で、相手を判断しているにすぎませんから、あなたの中での相手は、この世にはいない、あなたが作り出した相手像になってしまうのです。
だからこそ、大事なのは、相手が自分の理解を超えるような行動をしてきても、「そういう考え方もあるんだ」と一度受け入れることが必要になってきます。
一度受け入れてみて、自分の価値観とは合わないこともあるでしょう。
その場合に話し合いが必要になると思います。
相手に言わないで伝わる関係が理想かもしれません。
しかし、それは過去にしっかりと話し合った経験がある、もしくは長年一緒に過ごしてきた経験に基づかないとできないと思います。
話し合いを行なっても、どちらかがしんどい思いをするなら、それはその関係を続けることはできないでしょう。
もちろん、人の考えはその人の経験や知識に応じて変化するので、将来関係が修復するかもしれません。
ですが、現状、話し合ってもWin-Winの関係を構築できないと感じるなら、無理して一緒にいる必要はありません。
距離を取るなり、別れるなりという選択にしたほうが健全だと思います。
だって、一緒にいたいから関係性を構築したのに、そのせいでしんどくなってしまうのは、本末転倒だと思いませんか。
もちろん、自分が取り組むべきことを棚に上げて、相手に要求ばかりしていてもいけないので。
これはあくまで、課題を分離して、自分の影響の範囲の行為をある程度実施した後の方が良いでしょう。
ただ少し性善説的ですが、十分に前向きに話し合った後なら、どのような結果になっても、相手をただ嫌いになることはないのではないでしょうか。
あくまで、大事な部分の価値観が異なっていたために距離をおくだけなので、お互いがそのことを理解できて入れば、関係が完全に破綻し、泥沼化することはないと考えています。
今回は、自分の考えをつらつらと述べました。
感情の高ぶりに関しても、セロトニントランスポーターの遺伝子多型により、個人差があるようなので、上に書いてあることが納得できない人も居るかもしれません。
そのため、今回の記事の内容は、あくまで私の一意見として、認識いただけると幸いです。
長文を読んでいただき、ありがとうございました。
【ストレスケア】ストレスとどのように向き合うか(認知行動療法 基礎)
毎日、何かしらのストレスがありますよね。
そのストレスをうまく解消できないと、健康的な生活からは遠のいてしまいます。
そこで本日は、認知行動療法に基づいたストレスとの付き合い方についてお話しします。
流行りのマインドフルネスなどについてもお話ししていきます。
【目次】
- ・ストレッサーとストレス反応の関係について
- ・ストレス反応はさらに4つに分けることができる
- ・過剰なストレッサーからは逃げる
- ・外在化・マインドフルネス・コーピング
- ・スキーマ療法について
- ・スキーマ療法は諸刃の剣
・ストレッサーとストレス反応の関係について
まず、行動認知療法の基本モデルについてお話しします。
まず、人がストレスを感じるときは、必ずそのストレスを与える状況が存在します。
このストレス状況のことを「ストレッサー」と呼びます。
ストレッサーは、その人を取り巻く環境により生じるものなので、ストレスを感じる人は制御することはできません。
ストレッサーの例をあげると、イライラして自分に八つ当たりしてくる上司や、仕事が山積みになっている状況、嫌いな虫が肩についていた、電車が遅延した、などになります。
このストレッサーによって生じる、自分の反応を「ストレス反応」といいます。
例えば「遅刻して上司に怒られる」というストレッサーによって生じるストレス反応には、「動悸がする」、「必死に謝る」、「悲しい気持ちになる」、「非常に申し訳ないと思う」などがあります。
ストレッサーとストレス反応は互いに影響をしあっております。
「恋人から連絡が来ない」というストレッサーに対し、「電話する」というストレス反応を行った場合、もし恋人が電話に出なかったら、おそらく当人は「電話に出てくれなかった」というストレッサーにより、さらに強いストレス反応を示すでしょう。
このように、ストレスというものを、ストレスを引き起こす「ストレッサー」と、ストレスによって引き起こされる「ストレス反応」に分けることが、認知行動療法において基本モデルとなっているのです。
すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、同じストレッサーが与えられても、ストレス反応は人や本人の気分、考え方などによって変わります。
ストレッサーは変えられませんが、ストレス反応に関しては変えることができる、ということは、以前紹介した「7つの習慣」の「自分の影響の輪に集中する」という点と一緒だと言えます。
わざわざ「ストレッサー」と「ストレス反応」に分けるのは、自分の状態を客観的に理解し、自分が注力すべきポイントを理解するためなのです。
・ストレス反応はさらに4つに分けることができる
さらに、ストレス反応は「認知」、「行動」、「気分・感情」、「身体反応」に分けることができます。
「認知」とは、ストレッサーによりどのようなことを感じたか、ということです。
先程の「遅刻して上司に怒られた」という例では、「遅刻して申し訳ない」という思考が「認知」にあたります。
「行動」とは、ストレッサーによって引き起こされる行動のことです。
先程の例だと、「必死に謝る」というのが「行動」にあたります。
「気分・感情」とは、ストレッサーによってどのような気分になったか、どのような感情を抱いたか、ということです。
先程の例では、「悲しい気持ちになる」が「気分・感情」にあたります。
「身体反応」とは、ストレッサーにより生じる動悸や震え、顔の紅潮などの身体反応のことです。
先程の例では、「動悸がする」が「身体反応」にあたります。
これらの中で、自分で操作が可能なのは「認知」と「行動」になります。
「認知行動療法」とは、「ストレス反応」の中で対処の可能な「認知」と「行動」に焦点を当てた治療方法のため、この名前がついているのです。
・過剰なストレッサーからは逃げる
このため、ストレス反応における「気分・感情」や「身体反応」が許容できる範囲を超えるストレッサーからは逃げることが必要です。
例えば、「夫にDVを受けている」場合や、「ネグレクトを受けている子供」などがこれに当たるでしょう。
また、うつ病になり、何もしていなくても「気分・感情」や「身体反応」に悪い影響が出る場合は、薬物療法など、医師による専門的治療が必要になります。
そういった場合は、必ず専門機関に助けを求めるようにしましょう。
・外在化・マインドフルネス・コーピング
ストレッサーとストレス反応を分けて考えられるようになったところで、それらを整理して理解し、ケアするための方法である、外在化、マインドフルネス、コーピングについて説明します。
一つずつ説明していきましょう。
①外在化
外在化とは、「把握したストレッサーやストレス反応を、書き出すこと」です。
外在化は、自分が感じたストレスを、ただ単に、紙に書き出すだけですが、セルフケアの効果があることが知られています。
皆さんは、ストレスを感じているときに、そのストレスが発生している原因(ストレッサー)や、なぜその原因に対して、様々な反応(ストレス反応)をしてしまうのか、理解しているでしょうか。
ストレスは小さいものから大きいものまであるので、自分でも気づいていないストレスはよくあります。
また、ストレスに悩まされている場合、反芻思考というグルグルと回る思考に囚われてしまい、いったい何が問題なのかわからなくなることがあります。
人は、わからないことに対し不安を覚えます。
ストレッサーやストレス反応に対し漠然とした理解だと、なぜこんなにも感情が揺さぶられるのかわからずに、さらに苦しくなってしまうのです。
そこで、有効なのが外在化です。
ストレッサーとストレス反応を分けて、紙に書き出す(外在化する)と、自分のストレスを客観的に見ることができるようになり、未知の不安が解消されるのです。
◆外在化の方法
外在化の方法は以下の2ステップからなります。
- 自分が感じたストレスに対し、ストレッサーやストレス反応に分けて考え、それらに気づく。
- それらを分けて紙に書き出す。(ストレス反応については「行動」、「認知」、「気分・感情」、「身体反応」で分ける。)
「そりゃそうだよね。」という内容で申し訳ありません。
この時に注意することとして、小さいストレッサーやストレス反応について、気づくようにするように意識することです。
例えば、「雨が降って嫌だなあ。」とか「弟がまた服を脱ぎ捨てていて、だるい。」などです。
小さなストレッサーやストレス反応に気づくことができれば、自分がどのようなことにストレスを感じやすいのか分析することができます。
また、分析後に自分がストレスを感じている時も、「あ、妹が部屋を散らかして、片付けていないからこんなにイライラするんだな。」と理解できるようになります。
自分のことが理解できると、その感情はコントロールが容易になります。
そのため、小さいストレスに対しても意識を向けて、外在化するようにしましょう。
これは、ビジネス本などでは「ゼロ秒思考」などで紹介されている方法です。
ゼロ秒思考では、1分間というタイムプレッシャーをかけた上で、テーマについて、頭に浮かぶことをそのまま紙に書き出す方法について書いております。
数週間続ければ、ストレスがかなり緩和され、思考も整理される方法でおすすめです。
②マインドフルネス
マインドフルネスとは、「自分の今ここ、の体験に気づきを向け、それを判断したり評価したりするのではなく、そのまま眺めたり受け止めたりすること」です。
マインドフルネスはGoogleなどの大企業の研修でも取り入れられている方法で、高いヘルスケア効果だけでなく集中力の上昇など、様々なメリットがある注目されている方法です。
スティーブ・ジョブズなど、多くのエリート経営者も実践しているマインドフルネス(瞑想)ですが、マインドフルネスが良い理由の1つにデフォルト・モード・ネットワークの活性化を抑え、脳を休ませる効果があるからだといわれております。
◆デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)とは?
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)とは脳のある部分で構成される脳内ネットワークで、脳が意識的な活動をしていないときに働くベースライン活動です。
自動車のアイドリングをイメージしてもらえば良いでしょう。
このDMNは脳の消費エネルギーの約60~80%を消費すると言われております。
そのため、DMNが活性化していると、一日中ぼーっとしていたのに、「何か疲れた」と感じるようになってしまうのです。
そして、DMNの主要部位の活動は、マインドフルネスによって抑制できると報告されています。
◆マインドフルネスの方法
マインドフルネスには多様な方法がありますが、結局やるべきことは「自分の現在の体験に判断や評価をせずに気づきを向けること」です。
それを踏まえて、マインドフルネスの方法をいくつか紹介していきましょう。
1. マインドフルネス呼吸法
一つ目は呼吸に集中する方法です。
横になるか、頭から腰まで糸で上から吊るされているような感覚で、背もたれを使わずに椅子に座ります。
その状態で目を瞑ります。
そして、自分の呼吸に集中しましょう。
同じ呼吸は一度もありません。
冷たい空気が鼻先から喉を通り肺に届く感覚や胸や腹が膨らむ感覚、横隔膜が下に下がっていく感覚、身体の中で温まった空気が肺から鼻先へ出て行く感覚を全て観察します。
呼吸の深さや長さも毎回異なるはずですので、これらも確認していきます。
これを3~10分程度時間を決めて行いましょう。
初めてやると、3分も集中してできないことが多いです。
しかし、集中力が切れてしまい、自動思考が頭に浮かんできても「だめだ」と判断したりせず、再び呼吸に集中するようにしていきます。
毎日続けていくと、集中が長い時間持続していくことがわかると思います。
2. 今、聴こえることに集中する
同様に目を瞑り、自分が聴こえる音に集中する方法もあります。
エアコンから空気が排出される音、外で車が走る音、小鳥のさえずり、隣の部屋の足音など、様々な音が感じれると思います。
それぞれの音を実況するように聞いてください。
そしてその状態を数分間続けるようにしていきましょう。
自動思考が出てきても、それに気づいたら再び聴こえることに集中すれば良いです。
判断や評価はせずに、その状況を見つめ続けます。
3. 食べ物の香り、食感、触感、音、味を味わう
食べ物を使ったマインドフルネスもあります。
食べ物を食べるときに、五感を駆使して、その食事を最大限感じます。
手に持てるものだと触感も味わえるので良いでしょう。
例えば、クロワッサンを食べるとしましょう。
まずはクロワッサンを手に取ってみます。
クロワッサンの軽さや形状、色を観察します。
そして、少し押してみたりして、そこから発される音や触感を楽しみます。
次に香りを嗅いでみましょう。
バターの香りや小麦の香りがするかもしれません。
砂糖の甘い香りがするかもしれませんね。
そしてようやく一口食べて、味わいます。
食レポをするように味わって食べます。
味や香り、口の中の触感、口が乾くか潤うかなど、様々な感覚を感じましょう。
そしてよく噛んで、口の中で風味がどのように広がるか、味や触感が変化するかを感じましょう。
初めて行う場合、全てのことを行うのは大変ですが、食事は五感を使って楽しむことができるものですので、マインドフルネスに最適です。
最初の1口だけでも行ってみると良いでしょう。
このように、「今、ここ」に集中するといっても様々な方法があります。
さらに具体的な方法については、さまざまな本が出版されていますのでそちらを参照ください。
私は特に「最高の休息法」がおすすめです。
また、アプリを活用するのもおすすめです。
特に、「Awarefy」は私が活用しているアプリで、マインドフルネスを行うための音声も入っているのでおすすめです。
③コーピング
コーピングとは、「ストレッサーやストレス反応に対して、自分を助けるために、何らかの対処をしたり工夫をしたりすること」をいいます。
これまで紹介した、日々のストレッサーやストレス反応を外在化することも、マインドフルネスを行うこともコーピングです。
コーピングは傷ついた自分の心を回復させる方法です。
どれだけ工夫したとしても、ストレスが脳に組み込まれたシステムの1つである以上、ストレスをゼロにすることはできません。
そのため、ストレスを感じたら、コーピングによりケアをすることが重要になります。
小さくても良いので、コーピングを多く持ち合わせて置くようにし、
ストレスごとに適切なコーピングをチョイスできるようにしていきましょう。
・スキーマ療法について
以上を理解した上で、さらに話を深めましょう。
認知行動療法ではストレス反応を「認知」「行動」「身体反応」「気分・感情」に分けることができることを説明いたしました。
ここではこの中の「認知」について、さらに「自動思考」と「スキーマ」の二つに分けていきます。
これまで考えてきたような「認知」は、ストレッサーによって頭の中に感じたことだといってきました。
これは、自分で考えようと思わずとも、発生する思考なので「自動思考」といい、頭の中に表出してくる浅い思考です。
この「自動思考」に対し、自分が考えてもいないような深い思考、いわゆる、自分が考えている常識や固定観念を「スキーマ」といいます。
例えば、あなたが友人との待ち合わせに遅れそうな状況を考えてみましょう。
この時に、「あー、なんでもっと早く準備をしなかったんだろう。走っていかないと、集合時間に間に合わない。昨日も遅くまで仕事しているから疲れているけど、しょうがないから走らないと!あ、歩行者用の信号機が点滅している!あの信号を今渡らないと絶対に間に合わない!急いでわたりきらないと!」と頭に浮かんでくるのが「自動思考」です。
自動思考は頭の中に絶えず、浮かび、そして消えていきます。
一方、この自動思考に基づく、根源的な考えをスキーマといいます。
例えば、この人は友人との待ち合わせに遅れないために走っていますね。
しかし、「多少の遅れなら仕方ない。」と考えている人はこんなに走ってまで急がないでしょう。
そのように考えると、この人には「集合には遅れてはいけない」というスキーマが存在するということができます。
また、信号機が点滅していた場合は、本来なら横断歩道を渡るべきではないですよね。
交通法規を必ず遵守すべき、と思っている方はこのような行動はしないでしょう。
しかし、この方は渡っています。
このことから、この方は「信号機が点滅していても、状況によっては渡ることもやむを得ない」というスキーマを持っていると言えますね。
さらには、信号機を気にしている点から「車に轢かれるのは嫌だ」というスキーマがあるとも言えます。
「車に轢かれても良い」と考えている方はほとんどいないと思いますが、「車に轢かれるのは嫌だ」ということを理解していない赤ん坊などは信号機なんてお構いなしに横断歩道を渡るでしょう。
このように、私たちが認知している自動思考には、その根っこにスキーマが存在しているのです。
・スキーマ療法は諸刃の剣
スキーマは子供時代や思春期の環境や対人関係が深く関わってきます。
そして、このスキーマが原因で、生きづらいと感じてしまうことも多々あります。
そうした生きづらい状態を作ってしまうスキーマを客観的に見つめ、改めるのがスキーマ療法です。
スキーマ療法は、スキーマの理解のために、自分の嫌な感情を見つめたりすることにつながるため、心理的負担を伴います。
まず、うつ病やそれに近しい状態にある場合は、医師や心理士のサポートを受けて、心理的に安定してからスキーマ療法を行いましょう。
また、安定している方であっても、必ずスキーマを見つめる前後にはコーピングを行いましょう。
非常に長くなってしまいましたので、今回はここまでにして、次回はスキーマ療法の実践方法について説明いたします。
今回紹介した内容は認知行動療法の基本ですが、以下の本を参考に記載しましたので、よろしければご参考にください。
人新生の資本論と医療人
人新生の資本論を読みました。
正直、資本論を紹介していましたが、読んだことはなかったため、敬遠していた部類の本でした。
しかし、非常に人気があることと、敬遠している分野だからこそ本から入るべきだと考え、本書を読んでみました。
本日は、人新生の資本論を読んだ感想と、これを医療とどう結びつけるかについて考えます。
(今回はリラックス回です)
【目次】
・人新生の資本論で言いたかったこと
本書のあらすじに関しては、「中田敦彦のYouTube大学」で紹介されていましたので、こちらを参照ください。
絶対に私が説明するよりわかりやすいです。
ただ、全てをこちらの動画に任せるわけにもいかないので、私が本書から読み取ったことを述べると、以下の通りになります。
・経済成長を基礎に置いた資本主義がこのまま続くと、環境破壊が進み、プラネタリー・バウンダリー(地球が持つ復元力では元に戻らなくなる境界線)を超えてしまう。
・先進国は新興国に自分達の都合の悪いこと(ごみ、資源、労働など)を押し付けてきた(外部化)が、新興国も科学技術の発展が急速に進む今、外部化が難しくなってきている。
・資本主義では経済格差が拡大する構造になっている。経済発展は環境保全とデカップリング(別々に考えること)ができないため、常にトレードオフの関係にある。そのため、経済発展を捨て、富の再分配を行えば、皆が安定的に暮らせる持続可能で、社会的に平等なコミュニティを形成することができる。
・このためには、共同体範囲での循環型のシステムが必要である。
ざっくりとこんな感じです。
これを聞くと、皆さんは社会主義はソ連や中国のような一党支配で経済成長を主とした社会主義の国家をイメージすると思います。
しかし、本書ではそのような生産性主義的な社会主義のあり方はマルクスの本来の資本論の姿とはかけ離れた、誤った資本論を元に築かれた社会らしいのです。
科学技術が台頭することで、経済成長と環境保全が両立できないということを1~2章や5章を使って解説しており、そのような幻想を早く捨てなければ、あと10~20年で地球が取り返しのつかないことになるという事実は非常にショッキングなことでした。
本書で記載がありましたが、本気で何かを変えようとするとき、コミュニティの3.5%の人が本気で活動すると、その熱が全体に移るようです。
ウクライナ問題の場合もそうですが、そういった一部の方々が本気で具体的な活動(ロビイングやデモなど)をすることで、その他大勢が動くと言われています。
本書の導入は、ファクトフルネスを読んだ時以来の衝撃だったので、皆さんにも読むのをお勧めします。
・日本の医療は循環型コミュニティ形成の親和性が高い?
日本の医療は皆保険制度が採用されており、医療リソースは全体で共有しているので、日本国内でも医療は共産的だということもできます。
もちろん資本主義国家の元にあるので、民間の病院や診療所では経営も非常に重要ですが、国立や公立の病院に関しては、地域医療の保護のために赤字の病院に対しては自治体や都道府県からサポートがあるのが現状です。
これは、採算性の低い先端医療や難病などの実施や、地域医療維持のために必要だからです。
医療という分野に関しては、日本は非常に成功しているという点も医療者が声を上げやすい点だと思います。
アメリカの医療は世界最先端ですし、医療費も世界トップだったと思います。
しかし、アメリカの平均寿命は世界のトップではなく、むしろ低下傾向にあったくらいです。
貧富の差が大きい都市ほど、平均寿命が小さくなるという研究もあったくらいです。
日本は国民皆保険制度により、制度上、どのような方も医療にかかることができます。
つまり、必要な方が必要な際に、全員で共有された医療リソースを使えるということです。
これは、人新生の資本論で理想と掲げられていた形ではないでしょうか。
こういった医療分野の背景があるため、医療者は資本主義に対する反対運動を比較的行いやすい立場にあるのではないかと感じました。
ちなみに、医療のリソースを最適に分配するための学問が医療経済学です。
この分野について、比較的初学者でも読みやすい本を2冊紹介しておきます。
「経済学」とありますが、医療のコストパフォーマンスについての勉強になりますし、医療人なら一度読んでおくべき内容だと考えています。
・環境に対する危機感は医療分野でも生じている
また、環境に対する危機感についても医療分野でも散見されています。
イギリスの方では、GP(General Practitioner)というかかりつけ医の制度が発展しているのですが、最近はGreener Practiceの意味でのGPもよく言われるようです。
自然環境が変化して、地球の平均気温が上昇すると、新興感染症の発生や、それまで発生していなかった地域で生物が生存できるようになり、その生物(蚊など)が媒介する感染症が拡大する可能性があるからです。
そこで、One-Healthという概念が提唱されています。
これは、「自然、すなわち生態系と野生動物や家畜、そして人間といった全ての健康を等しく健全な状態に保ち守っていくことが必要」ということです。
人間のみが健康でもいけないということです。
これらのように、環境や貧富の差に対して感度の高い医療職はこういった社会課題に対し、声を上げるべき職種であると感じました。
医療とはそもそも、社会的地位の低い方にこそ目を向けるべき職種ですし、そういった方々のためには今の資本主義社会が全て正しいと思わずに行動することが大切でしょう。
今の日本人は資本主義社会を当然であり、社会主義や共産主義よりも優れたイデオロギーだと考えている方が多いと思いますが、アメリカの若者の約半数は社会主義への変化を望んでいるそうです。
アメリカの若者は、貧富の激しい国に住みながら世界中の人たちと繋がることで、資本主義社会の限界がわかるのかもしれませんが、日本のように閉ざされた環境で、互助の精神が強い国ではそこまで資本主義社会の弊害が見られないのかもしれないですね。
本日は以上になります。
ありがとうございました。
後回しにせず行動するコツ7つ
前回の記事で、常識という固定観念から抜け出し、精神的に自由になるためには、様々な経験をして多様な視点を得ることが重要だ、とお話ししました。
しかし、行動を起こし、様々な経験をすることは大変です。
人には現状維持バイアスという、現状を変えたくないという性質があるため、環境や行動を変えることを不安に感じるからです。
そのため、行動するために技術に「小さく始める」ということがあります。
「小さく始める」を含め、今回は何かを始める時のコツについて、説明していこうと思います。
【この記事のターゲット】
・何かを始めたいが、踏ん切りがつけられない方
・新しい行動に対して、不安を感じてしまう方
・何かをやろうと思っても、後回しにしてしまう方
【目次】
・現状維持バイアスとは
まず、現状維持バイアスについて説明していきます。
現状維持バイアスとは、変化や未知のものを避けて現状維持を望む心理作用のことであり、現状から未経験のものへの変化を「安定の損失」と認識し、現在の状況に固執してしまうという人の性質です。
現状維持バイアスは誰でも感じ得る人の性質です。
この現状維持バイアスにより、安定的な状態にいる人はその状態からの脱却を避け、未経験のことを行うことを嫌がります。
これは言い換えると、行動することにより得られる経験や仲間よりも、行動することにより生じる安定の喪失を大きく感じているということです。
行動経済学の分野では広く知られることですが、人間は得よりも損を重く感じます。
これはプロスペクト理論という行動経済学の理論の「価値関数」で表現されております。
例えば、1000円のお小遣いをもらった時の喜びよりも、1000円を落として失ってしまった時の悲しみの方が感情の動きが大きいのです。
また、人は未来よりも今を重視する傾向にあります。
ダイエットしないといけないのに、ついつい欲望に負けて食べてしまうことありますよね。
食べたらダイエットがうまくいかないことはわかっているのに、未来の自分のダイエットよりも、今の自分の食欲を重視して、行動してしまうのが人間の性質なのです。
そのため、未知のことに関して行動を起こす際にも、行動することで得られる未来のメリットよりも、その行動を決定する辛さから今、逃れることを重視して、行動を後回しにしてしまうのです。
行動経済学は、人の行動にフォーカスしている学問のため、行動変容のためのエッセンスが散りばめられています。
こちらの書籍なら、比較的簡単に読むことができますので、興味のある方は一度読んでみてはいかがでしょうか。
・行動するコツ7つ
それでは以下に、私の考える行動するコツを7つ示します。
難易度の低いものから、紹介していきますので、①から順に行動することをお勧めします。
①小さく始める
まずは「小さく始める」です。
物事を始めるときは、現状維持バイアスが邪魔をすることは先ほどお話ししました。
そのため、現状維持バイアスを刺激しないように、現状でも簡単にできることから行うことが望ましいです。
例えば、資格の勉強を始めようと考えているとき、いきなりユーキャンなどの講座を取ることはお金や時間にかなり投資してしまうので、現状維持バイアスが刺激され、行動が後回しにされてしまいます。
それよりも、まずはその資格についてネットで調べて見る、YouTubeで検索してみる、本屋でその資格の関連書籍を読んでみる、といったように自分のできることから始めることが良いでしょう。
そこで、自分が「やりたい」と感じたり、「できそうだ」と思ったら、参考書や講座の申し込みを行えば良いのです。
小さく始めることの最大のメリットは、悩む前に始めることができることです。
行動して、一度手を動かしてしまえば、現状維持バイアスが働くため、それを継続することは容易になります。
そのため「1分だけで良いから始めてみる」ということが大切なのです。
②軸足はそのままにしておく(ピボット)
軸足はそのままにしておく、というのは①とほとんど同じことを別の視点から言ったことです。
何かを始めるときに、「小さく始める」ためには、自分の今の生活をあまり変えないように行動する必要があります。
そのため、自分の今の仕事や状況を変えないで、行動していくことが重要になります。
自分の軸足は動かさずに、もう一方の足をコンパスのように移動させるイメージです。
これを「ピボット(pivot)する」と言います。
副業が流行っているのも、自分の軸足を動かさずに、新しいことができたり、新しいコミュニティに所属できるからですね。
③失敗した時の自分の状況を「自分に残るもの」で考える
次にマインドの話をします。
現状維持バイアスが強く働き、行動できない人の多くは、行動したことによる失敗を恐れているものと思われます。
そのため、この失敗に対する恐怖感を小さくすることが、行動に繋がります。
一般的なビジネス本では、「成長を軸にして、失敗を恐れずに行動する」という強者のマインドが書いてありますが、成長を軸としても、失敗は怖いため、ネガティブなことに過剰に反応する人は行動できません。
そこで、私は「失敗してしまったときに、自分に残るものを考える」ようにしています。
例えば、資格試験のために、お金を支払い資格講座に入ることを考えているとしましょう。
そのとき「もし資格試験に失敗したら、自分には何が残っているだろうか」と考えるのです。
もし、具体的に未来の自分をイメージできていないと、資格試験で合格できなかった場合に、お金や勉強に費やした時間などが無駄になると考え、行動ができなくなります。
しかし、失敗したときに自分に残っているものを考えると、そこまで勉強してきたことで得た知識や学習習慣はプラスされていますし、時間やお金が失われていても、大した問題でないことに気付くことができます。
このように、失うものに目を向けるのではなく、未来で目標が達成できなかったときに、自分に残されたものを見ると、自分が失敗した時の得るものと失うものを比較することができるので、合理的に考えて行動することができます。
もちろん、大きなリスクを伴う挑戦をするときには、未来も大きな変化が見られると思いますので、そういった場合には使うことができない手法にはなっています。
④軸を決めて判断し、「ジャムの法則」に従う
<a href="https://pixabay.com/ja/users/jarmoluk-143740/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=428094">Michal Jarmoluk</a>による<a href="https://pixabay.com/ja/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=428094">Pixabay</a>からの画像
行動するかどうか、判断をする際は自分が重要視する軸を決めておくことが大切です。
例えば、ものを購入するときは値段を重視するのか、性能を重視するのか、外観を重視するのかを決めておかなければいけません。
これは全ての情報を比較して合理的に判断することは、判断疲れを起こし、結果的に判断の後回しに繋がるからです。
これを説明するのに有名な「ジャムの法則」があります。
皆さんは、マーケティング業界で有名な「ジャムの法則」をご存知でしょうか。
「ジャムの法則」は、コロンビア大学で提唱された理論であり、同大学が行った実験に基づいています。
コロンビア大学は6種類のジャムと、24種類のジャムを店頭で試食販売し、その結果を調査しました。
すると、24種類のジャムを販売している場合の方が、多くの客が集まりました。
しかし、6種類のジャムを販売している場合、試食した方の30%の人がジャムを購入した一方で、24種類のジャムを販売している場合では、試食している方の3%しかジャムを購入しなかったそうです。
このように、購買率に10倍の開きがあったのです。
この結果から、多すぎる選択肢は選択者に過度な選択ストレスを与えてしまい、選択者は選択をやめてしまう、ということがわかりました。
そしてこれを「ジャムの法則」と呼んでいるのです。
皆さんも、何かを行おうと計画しているときに、「後悔がないように入念に調べれば調べるほど、その事柄を決められなくなっていった」ということがあるのではないでしょうか。
行動をするときには、行動に移すか、行動しないかを判断する必要があります。
しかし、判断のために情報を集めすぎると、行動できなくなってしまうのです。
これと似た意見は、安宅和人さんの著書「イシューからはじめよ」でも述べられています。
調べることは重要ですが、調べすぎると自由な発想ができなくなるのです。
そのため、調べすぎないように行動に移すかどうかを決める軸はあらかじめ決めた上で情報収集を行いましょう。
⑤ゴールから逆算して考える
ここから2つは『「後回し」にしない技術』に記載のテクニックを紹介します。
まず、ゴールから逆算して考えるという事です。
ゴールを設定するとその達成のために目標を設定していく必要があることは以前、説明しました。
このようにゴールから逆算的に考えると、今始めないと間に合わないということがわかり、行動意欲が出てきます。
⑥開始の締め切りを設ける
さらに、締め切りを終わりの締め切りだけでなく、開始の締め切りを設けるということが効果的です。
みんな、締め切りを設定しますが、結局「後回し」にして、締め切りギリギリまで開始しないということがあります。
そこで、終わりの締め切りだけでなく、開始の締め切りも決めておけば、後回しにせず、行動を始めることができるのです。
⑦やめることをルール化する
最後は、キングコングの西野亮廣さんが行っていることで、「うまくいっていることを辞めることをルール化しておく」ということがあります。
人は行動し新しい価値観を得ることで、成長します。
しかし、そのためには今、うまくいっている事を捨てる必要があります。
これは「夢を叶えるゾウ1」でも言われていることで、何かを新しく始めるなら、何かをやめる必要があるのです。
逆に言えば、何かをやめたら、そこに何かが入ってきます。
テレビを見るのをやめたら、テレビを見ていた時間に読書が入ってくるかも知れないし、トレーニングを行うことになるかも知れないのです。
これを効率的に行うためには、一年に最低1個はうまくいっていることを捨てる、と決めることです。
ただ、このようにうまくいっていることを捨てる選択をするのは、強者のマインドで難しいと感じたので、最後に紹介させていただきました。
いかがだったでしょうか。
今回の記事は、自分もまとめていて非常にためになりました。
もし皆さんにも、参考になることがあれば幸いです。
役職主義を捨てる
私が考えている良くない考え方に「役職主義」というものがあります。
役職主義があると、視野が狭くなり、自分を卑下することにつながるためしんどいです。
(名前からどういった考え方かわかりそうですが、)この役職主義がなぜ良くないのかについて話していこうと思います。
【目次】
・役職主義とは?
役職主義とはどういう意味なのでしょうか。
これは私が考えた言葉で、「役職(肩書き)を重要視する考え方」のことです。
つまり、社長や課長といったラベルを非常に重要視するということです。
私は昔、この役職主義に陥っていました。
「社長は皆すべからく優秀であり、一般社員の私が対等に話せる相手ではない。」
「私のほうが役職が低いのだから、自分の上司には従うのが当然。」
しかし、今ではこういった考え方をしていると、生産的な議論や効率的な自己成長ができないということに気がつきました。
そのため、できるだけ役職主義に陥らないように気を配っております。
・役職主義の何が良くないのか。
では、役職主義は何が良くないのでしょうか。
それには大きく2つの理由があると考えております。
1つは、「自分のことを信じることができなくなり、指示待ち人間になってしまう」こと。
もう1つは、「自分の長所を伸ばす発想になりにくいこと」です。
それぞれについて理由を詳しく述べていきます。
①自分のことを信じることができず、指示待ち人間になる
まず、役職主義になると、自分より立場の高い人はみんな自分よりも能力が高い人だという錯覚に陥ってしまいます。
実際には、役職というのは組織を効率的に運営するために必要なために用意されているだけです。
だからこそ、業務に関していうと、上司よりも秀でたスキルを持つ一般社員はいくらでもいます。
しかし、役職主義では、自分の方がスキルや経験のある事例に対しても、「相手の方が総合的に優秀だから」と考えて、自分から発言することができなくなってしまいます。
自分の方がその仕事について理解しているのにもかかわらず、自分よりもスキルや経験のない上司からの指示に従い、四苦八苦することになります。
このときに、自分の能力と役職に関係がないことを理解できれば良いのですが、役職主義が強く染み付いている人にはそれができません。
結果として、上司が絡む案件では自分で考えて行動できない、「指示待ち人間」になってしまうのです。
②自分の長所よりも短所が気になる
先ほどは、上司を必要以上に崇高な存在にするために陥る状態になります。
今度は、自分自身を必要以上に卑下してしまうことによる弊害をお話しします。
役職主義になると、自分が一般社員、特にチームでもっとも下っ端になると、「自分はチームで最も能力が低い人間だ」と捉えてしまいます。
能力が低い自分がどこを目指すべきかというと、自分よりも能力の高い上司を目標にするはずです。
つまり、自然と上司のコピーをめざしてしまうのです。
上司のコピーをめざしてしまうと、自分の得意分野よりも上司の得意分野を上司のレベルになるように目指してしまうことになります。
しかし、人には個性があり、人それぞれ得意なことが違います。
そのため、上司と自分の長所が似ていない場合、短所を補おうと努力する羽目になるのです。
役職主義に陥ると、こういった個性を殺してしまうような方向性に、自分を推し進めてしまう恐れがあると、私は考えています。
・どうすれば役職主義を逃れられるのか
ではどうすれば役職主義を逃れることができるのでしょうか。
その方法を私なりに考えたものを3つ示します。
①同じチーム内で自分が頼られるような専門性を磨く
まずは同じチーム内で自分が頼られるような専門性を1つ手に入れることです。
チーム内で明らかに自分が最も得意な分野があると、上司もあなたに一目を置きます。
その結果、あなたの得意分野の仕事は、上司から、あなたが主導で行うように指示されるでしょう。
自分よりも優秀で偉いと思っている上司に指示されれば、役職主義の人間でも、自由に行動することができるでしょう。
その結果、良い成果を上げることができれば、その実績が自信になり、その分野に関しては役職主義を抜け出すことにつながります。
②自分しか知らない一次情報を多く持つ
①と同じ理由で、自分から知らないような一次情報を積極的に取りに行くこともおすすめです。
一次情報とは、誰にも加工されていない生の情報のことです。
世の中には誰かによって処理され、発信された二次情報が多く存在しています。
しかし、その情報は発信者の意図やバイアスが含まれていることが多いです。
そのため、一次情報には非常に価値があります。
上司が、立場的、時間的に経験できないような一次情報を手に入れることで、上司から情報提供を求められるはずです。
このように、上司にないものを自分で取りに行くことで、自分を唯一無二の存在にすることが役職主義から抜け出す方法だと考えます。
③多様な経験をし、複数の視点を持つ
これは少し時間がかかりますが、複数の視点を持つことは、役職主義から抜け出す最良の方法だと考えています。
この点について、元東京都知事で作家の猪瀬直樹さんが「ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法」でおっしゃっていたことを引用すると、以下の通りになります。
視点を変える、という経験がなければ本質は見えてこない。結果として、日本全体や世界の中から自分自身の存在も見えてこないんだということをわかってほしいのです。
(猪瀬直樹)
ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法(KADOKAWA)
自分自身の立ち位置を様々な視点から見なければ、本質は見えないのです。
役職主義は役職という構造に価値を置いてしまっている考え方のために、仕事の本質が見えていません。
その業務は誰のためになっているのか、何のために行っているのか、ということを理解することではじめて、その業務の価値や、必要とされている業務が理解できます。
この理解のためには、様々な立場で、多様な経験をする必要があるのです。
視点を変えるためには、現在自分がいる環境とは異なる環境に身を置き、その位置から様々なことを経験する必要があります。
どれだけそのことについて勉強しても、その手触り感は伝わりません。
ぜひ、多様な経験をして、役職主義という、小さな考え方を捨て去れるようにしていただきたいと思います。
・結局、必要なのは常識という考え方を捨てること
以前の記事で「常識」を捨てると生きやすくなるということをお話ししました。
今回の役職主義もそういった常識を持ってしまっていると考えられます。
大切なのは結局常識を捨て、精神的に自由になることなのです。
そしてそのためには、様々な経験をして、多様な価値観を持つことが必要です。
これは、ビジネス系人気YouTuberの「まこなり社長」も最近の動画でお話ししていました。
この動画は起業10周年を記念したイベントのプレゼンです。
2時間を超える、まこなり社長の人生を語った熱いプレゼンになっています。
お時間のない方は、最後の15分程度を見るだけでも、まこなり社長の言いたいことは伝わるかと思います。
この熱いプレゼンを見て、少しでも「自分の常識(固定観念)を捨てることが大切なんだ」と理解いただければ幸いです。
本日は以上になります。
ご覧いただきありがとうございました。
【医学部学士編入】勉強法・志望校選択について
以前の記事で、目標の立て方についてご紹介しました。
目標を立てる際には「目的」から「目標」を設定することになります。
私は医学部学士編入試験で4校から合格を頂きましたが、TOEICは600点台、生物は未履修と、元が優れていたわけではありませんでした。
それでも合格をもぎ取れたのは、ビジネス本などから「勉強法」や「優先順位の付け方」を学んでいたからだと考えております。
そこで、医学部学士編入試験の勉強法について、志望校選択からまとめていこうと思います。
【目次】
①自分の学力を知る
まずは、自分の学力を知ることが重要になります。
医学部学士編入試験で重要になる科目は、英語、生命科学、物理、化学、統計です。
特に英語、生命科学はどの大学を受験する場合でも必要になります。
英語についてはTOEICやTOEFLなどの外部試験を受験し、おおよその点数を把握しておく必要があります。
医学部学士編入試験を受験される方々の中で、合格者の多くはTOEICスコアが800点を超えていることが多いです。
自分のスコアを早めに知ることは、今後の受験戦略を立てる中でも非常に重要なことです。
受験から長く遠ざかっていた人ほど、この学力の把握が非常に重要になります。
②志望校を決める
医学部学士編入試験を行う上で重要なのは、できるだけ早く志望校を決めておくことです。
そのため、本来なら自分の学力が把握できたら、すぐにざっくりと志望校は定めておくべきです。
しかし、生命科学が未履修の方や、英語が苦手な方などは、そもそも自分がどの大学で合格可能性があるのかわからないと思いますので、ある程度勉強を行ってから、受験校の決定をすればよいと思います。
さて、では具体的な志望校の決め方をお話ししていきましょう。
志望校は以下の3ステップで決めるべきだと、私は考えています。
- 自分の医学部編入の目的や条件を明確にする。
- 自分のいきたい大学、受かりやすい大学を順位づけする。
- 2を1で決めた目的に照らし合わせ、優先的に受験する大学を決める。
- 受験スケジュールを考慮して、無理のない範囲で、できるだけ多くの大学を受験する。
詳しくみていきましょう。
1. 自分の医学部編入の目的や条件を明確にする。
まず行うべきは、自分が医学部編入する目的を明確にすることです。
なぜなら、医学部編入する目的が明確であれば、受験校がかなり選別されるからです。
具体的には、「どの医学部でも良いから、とにかく医師になりたい」、「医学部に入学して、
医学研究者になりたい」、「発展させたい分野があって、その分野の医学系の専門家になりたい」など、多様な目的があると思います。
また、大学卒業後の受験になるため、人によって様々な条件があるでしょう。
「子供がいるから、今の家から通える学校」、「将来は親のために地元に帰らないといけない」などです。
こういった目的と条件を明確にしておくと、「受験できない大学」や「受験しない方が良い大学
」が出てきます。
とにかくどこでも良いから医学部に入りたいのに、難関校の大阪大学や東京医科歯科大学などを受験していても目的にはアンマッチです。
子供のために今の家から通える大学を受験しないといけないのに、練習目的以外で実家から遠い大学を受験しても、結局パワーの無駄遣いです。
そのため、自分が何をしたいのか、なぜ医師になりたいのかを明確にし、その目的を叶えられる大学を受験するようにするのが、最も効率的になるのです。
2. 自分のいきたい大学、受かりやすい大学を順位づけする。
次に、「自分の行きたい大学」と「受かりやすい大学」を5位くらいまで順位づけします。
この作業は主観的な考えで結構です。
「自分の行きたい大学」では、自分の学力を全く度外視して、純粋に行きたい大学を選びます。
旧帝大を優先する人もいるでしょうし、自分の家からの近さを優先する人もいるでしょう。
「受かりやすい大学」は自分の強みが活かせる大学だと認識してください。
得意科目の配点が高い、苦手科目の配点が低い、学科よりも面接を重視している、地元である等色々と考えられると思います。
そういった情報は河合塾KALSのガイダンスを受けたり、チューター制度を利用することで得られます。
これらは無料で実施できるので、KALSに入塾していない方も、実施を検討してみてはいかがでしょうか。
3. 2を1で決めた目的に照らし合わせ、優先的に受験する大学を決める。
2を明確にしたら、1で決めた、自分の医学部編入の目的と照らし合わせましょう。
もしあなたが医学部に入ることができれば、どの大学でも良いと考えるのなら、2で決めた「受かりやすい大学」を上から順に受けることが良いです。
また、自分が医師になる目的を叶えやすい大学があれば、その大学が第一志望になるでしょう。
これらを考慮して、優先的に受験すべき大学を決めておきます。
4. 受験スケジュールを考慮して、無理のない範囲で、できるだけ多くの大学を受験する。
しかし、医学部学士編入試験の採点基準はブラックボックス化されていることが多く、学力が十分あっても志望大学に合格できない場合もあります。
医学部学士編入試験は併願が可能なので、リスクヘッジとして、ご自身が可能な範囲で、できるだけ多くの医学部を受験することをおすすめします。
この時に、受験スケジュールを考慮しないで受験校を選択する人がいますが、それはお薦めしません。
受験日が被っていたり、連日の試験になると、疲れの影響で、持っている実力を発揮し切れない可能性があります。
また、十分に過去問対策を行えないまま、受験することになります。
少なくとも、3で優先順位の高かった大学については、連戦にならないように受験スケジュールを組むことをお勧めします。
受験時期は前年度の入試時期から大きくはずれないので、前年度の受験日を調べれば受験スケジュールは計画できます。
この、前年度の受験日についても、河合塾KALSのガイダンスに出席することで、知ることができます。
③効率的な学習を行う
受験校を選択したら、効率を重視して、学習を行いましょう。
目的を達成するための目標を考える時に、あまり皆さんが考えないのが、「効率的な勉強法」です。
手段を達成するために、時間効率を上げることは非常に重要なことですが、そこについて、あまり重要視していない人が多いと思います。
そこで、以下に効果的だと言われている勉強法を示しました。
知らないものがあれば、ぜひお試し下さい。
・アウトプット重視で勉強する
学習したことが定着するのは、覚えた内容を思い出そうとしているときです。
そのため、覚えたことをアウトプットすることが記憶の定着には重要になります。
具体的には、一度解いた問題を答えを見ないで再度解いてみたり、授業後に授業の内容を独り言で1~3分で説明してみる、などがあります。
授業後の確認問題や小テストも良いアウトプットにつながるので、そういった問題があればぜひ取り組みましょう。
・定期的に休憩をとる(仮眠は最強)
東京大学の研究で、中高生に60分続けて英単語を暗記させたグループと15分英単語を暗記して5分休憩することを3回繰り返させたグループの結果が、後者の方が良かったことを示している。
このことから、勉強時には長時間続けて勉強するのではなく、定期的に休憩を挟んで勉強したほうが、長期記憶につながると考えられている。
15分ごとに休憩すると、さすがに問題などは解ききれないので、50~60分ごとに一度休憩を挟むのが現実だと考えられます。
休憩時には、5~10分の仮眠を挟むと、記憶の定着に良いと言われています。
・暗記は繰り返すことが重要(まとめノートはお勧めしない)
英単語暗記などで重要なのが、繰り返すことです。
英単語を書いて覚えようとする人がいますが、脳科学的には非効率です。
100単語を覚えたい場合、1単語1分かけて100単語を覚えるよりも、3~5分で100単語を覚えようとするのを、10回程度繰り返す方が記憶の定着が良いです。
・睡眠はしっかりとる
睡眠を削って勉強をする人がいますが、勉強に関して言えば、睡眠は削らないほうが記憶の定着は良いです。
ここに関しては、働きながら勉強する人は仕方ない部分もあるので、できるなら睡眠をしっ枯るるようにしておきましょう。
・夜暗記したことを朝復習する
暗記の鉄則として「寝る前に勉強したことは記憶が定着しやすい」というのがあります。
これはさらに、その内容を朝に復習すると記憶の定着が良くなります。
記憶は夜寝ている間に脳内で必要な情報とそうでない情報が選別され整理されています。
整理が終わった朝に、その記憶を引き出してやることで、より深い理解と定着が見込めます。
・タイムプレッシャーをかける
制限時間を決めて問題を解くと、集中力が上がり、勉強効率が上昇します。
スマホでストップウォッチ機能を使うと、他のアプリや通知に集中力を削がれてしまうので、100均などでストップウォッチを購入することがお勧めです。
・スマホを近くに置かない
スマホを見えるところに置いているだけで勉強効率が低下すると言われております。
スマホは人の興味を引くように設計されているため、スマホを触ると、集中力が低下します。
スマホは勉強机から遠い場所に置くようにしましょう。
スマホの影響やより良い付き合い方は「スマホ脳」で詳しく解説されていますので、また解説していこうと思います。
・糖分や脂の多い食事を摂りすぎない
糖分や脂分の多い食事は胃腸の活動を活発化させ、眠りを誘います。
お昼の集中したい時間に眠くならないように、糖分や脂の多い食事、刺激の強い食事(カレー、ラーメン、牛丼、カップ麺など)を摂取する量を減らすことをお勧めします。
・人に教える
アメリカ国立訓練研究所の研究によると、学習方法と平均学習定着率の関係は「ラーニングピラミッド」という図で表すことができます。
これによると、講義や読書では10%程度の記憶の定着率ですが、自ら体験したり、他の人に教えるという作業を行うと、75%~90%の記憶の定着率が見込めるようです。
この高学習定着率の方法をアクティブ・ラーニングと言いますが、こちらは近年文部科学省が推し進めようとしている学習方法ですので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
科目別に記載すると、英語は以下のような勉強をお勧めします。
【英語】
英語の学習の順番は以下の順番がお勧めらしいです。
1. 単語
2. 文法
3. 英文解釈
4. 英文精読
5. 英文速読(音読)
まず、単語は必ず必要。
単語がわからないと何も読めません。
次に、文法を理解しましょう。
完璧に理解するというよりも、基本的な関係詞や不定詞、仮定法などについて理解すれば良いです。
次に、英文解釈を行います。
ここで、英文を実際に読むために必要な文法についても再度学習します。
次に、英文を区切りながら精読します。
SVOCや修飾語がどの語にかかっているかなどを理解して長文を読み進めていきます。
最後に、その英文精読を行った文章を速読します。
おすすめはシャドーイングすることです。
そのため、音声CDや音源のある英文を精読しておくことをお勧めします。
シャドーイング時には、英文を頭から理解して読んでいくことが大事です。
英文精読の際に、しっかりと文構造を理解がしていれば、繰り返し読むことで徐々に英文を前から読んでも、文構造を理解できると思います。
これを繰り返すことで、似た文構造の文章は読めるようになっていきます。
④過去問分析を行う
過去問分析は受験を検討する大学の過去問が入手可能な場合に行います。
大学によっては、資料請求をするともらえます。
過去問分析の際に意識することは以下の3点です。
- 出題範囲を把握する
- 得点配分を考える
- 時間配分を考える
まず、ざっくりと内容を確認し、出題範囲を把握します。
各科目の難易度はどの程度なのか、統計や化学の出題はあるのか、出題形式はどのような問題が多いのか、などを確認します。
これにより、過剰な勉強をやめたり、注力すべき範囲を把握することができます。
受験時期が近づいてきたら、今度はおおよそ何点を目指すかを検討します。
一般入試でも数学何問完答して、何問は部分点をとる、など戦略を立てると思います。
学士編入試験でもざっくりと計算しておくと、当日焦らなくてすみます。
その上で、直前期に実際にその問題を時間内に解けるか検証します。
もし解けない場合は、どのようにして点数を稼ぐかを検討します。
テストを解いていて、解答が間に合わないと感じてしまうと焦ってケアレスミス等につながります。
当日の焦りを解消するためにも、実際にテストにどの程度の時間を要するのか感触をつかんでおきましょう。
どうやっても間に合わないようであれば、受験当日も間に合わないと考えて、点数を稼ぐ箇所を決めておけば焦らずに着実に得点を稼ぐことができます。
⑤試験と同じ環境で勉強を行う
本命校などでは、試験日2週間前くらいから、試験日と同じ時間に同じ科目を勉強しておくと、当日集中力を高く受けることができます。
夜型の人などが朝型に変える必要がある場合は2週間以上前から取り組んでおきましょう。
ルーティーンを定着させるためには、少なくとも2週間かかると言われています。
上の文章は、あくまで私の個人的な意見ですので、あくまで参考として、ご参照ください。
世界に対する考え方を変えれば、生きやすくなるかもしれない
私は、大学院生の時、非常に偏ったものの見方をしていたせいで、非常に人生を生きづらく感じており、生きている意味があるのか本当に悩んでいました。
今となっては色々と考え方を変えることで、だいぶ安定した人生を送れています。
ではどうやったら生きやすくなるのか。
考え方や行動を変えることが私には必要だったのですが、今回は考え方のうちの一つ、世界や常識対する捉え方についてお話をしていきます。
世界や常識に対する考え方を変えると、生きやすくなりました。
そんなこと言っても「世界に対する考え方ってなんだよ!」、「世界は世界でしょ?」という人も多いと思います。
ここでいう世界とは、あなたが生活する中で関係すると思う人の範囲のことで、主観的なものだと考えてください。
視野と言っても良いでしょう。
私は、この世界の範囲があまりに狭く、生きづらいと感じていました。
また、コミュニケーションに差が生まれたり、自分の可能性を誤って認識している人の多くも、この世界の捉え方が甘いのではないかと考えています。
いかに自分の考えを記載しましたので、ぜひ興味のあるところをご覧になってみてください。
世界の捉え方は人によって違う
そもそも私たちが見ている世界は同じではない
そもそも、私たちが見ている世界の姿は人によって異なります。
これは、人に骨格や容姿、肌の色など個性があるように、私たちが世界を認識する感覚器にも個性があるために起こります。
人間は世界を認識するために、眼から入ってくる光情報を、鼻や舌に入る化学物質を、皮膚や耳に伝わる物理刺激を、検知しています。
この検知した情報を、脳に伝えて、世界の様子を認識しています。
この眼や鼻、舌、耳、皮膚の感覚は人によって個性があります。
鼻が効く人や、高い音が聞こえない人、味覚が繊細な人など色々な人がいますよね。
眼でも眼を構成する視細胞が検知する光の波長には個性があり、人によって色の見え方が多少は異なると言われています。
このように考えると、私たちが認識している世界というのが、人によって違うことを納得いただけるのではないでしょうか。
世界の捉え方は考え方によっても変わる
世界中が繋がっているという抽象的な考え方
さらに、人の考える世界は経験してきた出来事や学習、趣味などによって変わります。
「君たちはどう生きるか」の中で、このことを伝える描写があります。
主人公のコペル君は銀座の7階建のデパートの屋上から外を眺めていました。
コペル君は道路や家々を眺めて、とても多くの人が自分とは関係ないところで思い思いに行動しているのを見て、「人間て、まあ、水の分子みたいなものだねぇ。」と叔父さんに話しかけています。
分子は、物質を構成する最小単位のことです。
つまり、世界を海に見立てた場合、水の分子が海を構成するのと同じように、一人一人の人間が世界を構成しているんだ、と考えているということです。
これをコペル君は「人間分子の関係」といっています。
さらに、自分が知らない多くの人間が関係しあって、今の世界が構成されていると認識します。
例えば、皆さんがスーパーで小麦粉を購入することを考えると、スーパーの店員さんがいないと小麦粉が店頭に並び、購入することはできなかったでしょう。
このスーパーの店員さんは、小麦粉を小麦粉卸業者から購入しなければ、店頭に並べることができなかったでしょう。
さらに、小麦粉卸業者はパイロットが飛行機を動かして、外国から小麦粉を運送してもらわないと、小麦粉を国内で売ることができなかったでしょう。
小麦粉がアメリカ産の場合、アメリカの生産者の方が小麦を生産していなかったら、パイロットはアメリカから小麦粉を運ぶこともできなかったでしょう。
これを考えると、自分の手元に小麦粉が届き、料理に使用できるのは、世界中の人が自分の知らないところで生きて活動してくれているからです。
これは翻って考えると、あなたが小麦粉を購入しないと、それらの人の仕事は意味をなさなくなってしまいます。
このように、人間は分子であり、それぞれが関係しあって生きることで世界を構築している、とコペル君は気付きます。
そして、これを「人間分子の関係 網目の法則」といっています。
生きて活動すると、必ず周りに影響を与えるのが今の世界なんです。
これは、マルクスの「資本論」における「生産関係」につながる概念らしいのですが、難しい話は置いておいて、次の話に行きましょう。
(興味がある方はご自身で調べて見てください。)
この理論は、現代に置いてはさらに実感できるでしょう。
インターネットやSNSによって、世界中の情報にアクセスすることが容易になり、飛行機による移動も、昔に比べてかなり低コストになりました。
自分中心の偏った考え方
しかし、人間というのはどうしても、自分中心の概念を持ってしまうものです。
これには、個人的な原因と環境的な要因があります。
個人的な要因とは、各自のこれまでの経験や行動に伴い、バイアス(偏見)が形成されるために起こります。
人は少なかれ、自分中心に物事を捉えてしまう癖があります。
子供をイメージするとよくわかるのではないでしょうか。
経験や知識が乏しいために、世界の中の自分という考え方で動くことはなかなかありません。
これは大人になるとある程度解消されますが、自分のことを完全に客観的に見れる人はあまり多くないでしょう。
自分が嫌いな人に対して、皆に平等に接することは難しいでしょう。
自分が頑張った成果に関して、どうしても他人よりも贔屓目になってしまうこともあるでしょう。
自分の子供が周りよりも圧倒的に可愛いと感じることもあるでしょう。
こういった個人的なバイアスは誰にでもあります。
逆にいうとそれこそが個性です。
また、環境的な要因でバイアスが形成されることも多々あります。
キリスト教を信仰する家系に生まれ、幼少期から日曜日には教会に行っていた場合、それがその人の常識になります。
その方にとっては、日曜日に教会に行き、祈りを捧げることは何よりも重要であると考えるかもしれません。
しかし、結婚した相手が何も宗教を信仰していない場合、そういった考えは理解できないでしょう。
このように自分が置かれた環境によって、個人の世界観は大きく変わります。
「常識」が他人への理解を難しくする
ここまで、人が捉えている世界というのは人それぞれ異なるということをお話ししてきました。
そもそも身体的に感じている世界というのは人それぞれ多少異なっている。
その上、自分の行動や経験、知識などによって各人には異なる世界が見えています。
そして、この違いを共有できなくする言葉が「常識」や「普通」といった考え方です。
日常生活においても「常識的に考えたら、そんなことしないと思うんだけど。」や「普通に考えてこうするでしょ。」などと使ってしまうと思います。
しかし、この自分が考えている「常識」は、必ず他の人の「常識」とは違います。
このことを理解できずに生活していると、自分の考えが相手に伝わらなくてイライラしたり、相手の「常識」が理解できず落ち込んでしまうことがあります。
「人間分子の関係 網目の法則」の通り、人と人は関わり合わなければ生きていくことはできません。
そのため、自分が考えている「常識」は相手と異なる、という固定観念を捨てて、他人と関わることが他者と関わり、良好な関係を築く上で非常に重要だと思います。
どうしたら生きやすくなるのか?
今あなたが生きづらいと感じているのであれば、この「常識」についての考え方を変えることをお勧めいたします。
そのために最も良い方法はコペル君が行ったように、自分の世界に対する捉え方を広げることです。
「人間分子の関係 網目の法則」の通り、人はそれぞれ関係しあって生きています。
しかし、現在生きづらいと考えているあなたは、何によってそのように感じたのでしょうか。
人が人と関わり合って生きていく際に、あなたや周りの人が持つ「常識」が、あなたを苦しめているからこそ、生きづらいと感じたのではないでしょうか。
あなたは必要ない人間なんだと、感じてしまったのではないでしょうか。
ただ、あなたはもっと広い世界に生きています。
あなたがその広い世界を認識し、受け入れることは自分の心の安定につながります。
そして、あなたの「常識」を柔軟なものにしてくれます。
また、広い世界の中には、必ずあなたを受け入れてくれる人がいます。
その方々とまだあなたは会っていないだけです。
世界に対する捉え方を変えて、自分にとって良い環境を受け入れましょう。
人の役に立てない時
それでも、「自分は人の役に立てる能力もないし、人に迷惑をかけてばっかりだから、受け入れてくれる人なんていないのではないか。」と考えてしまうこともあるかと思います。
私も大学院生の時に、実験の結果が出なくて、周りの人にあたり、周りの人が離れて行った時には、そう感じていた時もありました。
ですが、「役に立つ」というのは人それぞれ考え方が違います。
あなたの「常識」の範囲内で「役に立っていない」だけであって、あなたの考えている「常識」とは全く別の考え方で動いている人も世界には大勢います。
その方々からすると、あなたがいることがとても嬉しく、役に立っていると感じているかもしれません。
私の大好きな漫画に「夜廻り猫」があるのですが、その3巻の216話は、耳が聞こえず、脳に病気のある猫を拾う話になっています。
何も障害のない猫の方がおそらく育てやすいでしょう。
普通の猫と過ごすような時間は過ごせないでしょう。
しかし、その飼い主は「生きているだけでいいんだって、この子が教えてくれる。」と語っています。
「夜廻り猫」は他の話も素晴らしいので、ぜひ読んでみてください。
個人的おすすめは3巻です。
この話のように、どのように「役に立つ」かは、受け取る側がどのように考えるか次第なのです。
だからこそ、あなたはできるだけ自分が影響を与えられる範囲に集中することが大切です。
自分の世界を広げ、自分のやりたいことをしていくことこそが、人生を過ごしやすくしてくれると私は考えています。
人の役に立つことは「自己有用感」を高めますが、この自己有用感は身の回りの良いことを探すことでも高めることができます。
これについてはまた別の記事でお話ししましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
広い世界観を得るには本は絶好の教材です。
「夜廻り猫」は漫画で読みやすいので、興味がある方はぜひ1巻を手に取ってみてください。