【医学部学士編入】薬学部出身の方が医学部学士編入の志望理由を考える際の注意点

薬学部出身の方が医学部学士編入の志望理由を考える際の注意点について、考える機会がありました。そこで考えた内容を以下にまとめましたので、ご参考になってください。

 

 

 

医学部学士編入試験における差別化の重要性

 医学部学士編入試験の最もメジャー学部と言われております。大学で学習している項目が医学部学士編入試験で必要な科目に近く、かつ医療現場での裁量権が薬剤師よりも医師の方が多いために、医師を志す方が多いようです。そのため、面接における他の薬学部出身者との差別化を行うことが重要になります。

 

 志望理由書による差別化には、志望理由や将来の医師像による差別化と、受験者本人のスペックによる差別化があると考えております。薬学部出身の方において、この2点をさらに分類すると、前者では「薬剤師・薬学部での経験」や「医師になり実現したいこと」が挙げられるでしょう。後者では「薬剤師としての経験」はもちろん、「研究経歴」、「スキル」、「課外活動(社会活動、学生団体、部活、バイト等)」が挙げられるでしょう。これらについてそれぞれ見ていきましょう。

 

差別化を行うために意識するべき点

1. 志望理由や将来の医師像による差別化

 1.1 医師志望理由

 医師志望理由は差別化にならないと考えていない方もいらっしゃるかもしれません。しかし医学部学士編入試験において、自分が医師になる必要性を論理的に論じることができる人は意外に多くありません。特に、薬剤師は医師と同じように患者を相手に業務を行っているため、他業種と比較して医師になる必然性を説くのが難しいです。そのため、自分がやりたいことは医師にならないとできない、というロジックで話を進める必要があります。ただし、この際も医師に対する下克上のような印象にならないようにだけ注意が必要です。学生であれば、特別な専門性を持たない人も多いと思われます。その場合、こういった志望理由の論理性を見られることが多いと思われますので、この部分の確認はしっかりと行いましょう。

 

 1.2 将来の医師像

 医師となった際にどのようなことをしたいのかを、具体的に論じることができれば、他者との差別化につながります。薬学部出身の方の多くは「薬学の知識を活かし、薬に詳しく、適切な処方を行う医師になる。」ということをイメージされるかもしれません。しかし薬剤師と医師のダブルライセンスは需要があるのかと言われると、多職種連携が叫ばれている昨今の医療業界ではそこまで価値がないのかもしれません(こちらの記事ではそのようなことが言われております→https://kusuripro.com/doctor-pharmacist-doublelicense/)。

 

 しかし、医師と異なる目線で医療を行ってきたことは、薬剤師の強みである、と私は考えております。その視点から、具体的な理想の医師像を考えることができれば、面接官の納得を得やすいでしょう。薬剤師の方々は現場を知っているという点で、他学部に比べて一つ有利であると考えてもらって良いと思います。その強みを活かしてきましょう。

 

 また、研究系に進む場合は薬剤師という点が強みになると思います。上述の通り、医師と異なる視点や知識を持っているため、薬剤開発や医療体制の改善などに介入する際のメリットも大きいでしょう。研究系に進むことを考えている場合は、説得力をもたせやすいと考えられます。

 

2. 受験者のスペックによる差別化

 次に、受験者本人のスペックによる差別化を話します。薬剤師内で差別化をはかる場合、薬剤師である点以外にも、面接で話せる強みを持っておくことが必要です。ここで考えられる強みに「薬剤師としての業務経験」、「研究」、「スキル」、「課外活動」などが挙げられます。順番に考えましょう。

 
 2-1. 薬剤師としての業務経験

 薬剤師としての業務経験の中で得たものがあれば、それを専門性として記述することもできるでしょう。ただし、どういった場所で、どういった方に、どういった業務を行っていたのか、そこで何を感じ、何を得たのかをまとめる必要があります。単純に「薬剤師として働く中で、他職種で連携するコミュニケーション能力を得た」などと記載してしまうと、薬剤師である必要性がなく十分な差別化ができません。面接で詳しく話すためにそのように記載しても良いですが、差別化の観点から考えると、もう少し具体性を持たせる必要があるので注意しましょう。

 

 2-2. 研究経歴

 研究に関しては、研究そのものの専門性が高く、医学との親和性が高いほど印象が良いと考えられます。しかし、研究していた期間が短すぎて専門性を得たとは言い難い場合や、そもそも医学との親和性が低い研究テーマを扱っている場合もあると思います。その場合、研究を行うことによって、自分がどのように成長したか、ということによって他者との差別化をすることができるでしょう。ただし、第三者的に証明できるものではないので、そのように論じた強みは説得力は弱いことに注意しましょう。可能ならそういった強みは志望理由書に書かず、推薦書に書いてもらうように教授等にお願いした方が良いです。

 

 2-3. スキル

 説得力のある強みの代表例はご自身の持つ「スキル」です。特に、TOEICTOEFLのスコア、研究の実績など第三者的に納得させられるものがあると強いです。特に英語力や研究経験などは、医学部でも活きてくる能力なので良い印象を与えることができるでしょう。

 

 2-4. 課外活動

 最後に「課外活動」で得た能力を述べることができます。課外活動といってもさまざまで、社会人経験や学校生活以外のことであれば何でも良いです。一般的な学生であれば、部活やバイトで得た能力なども記載できるかと思います。

 

 これらを記載する上で重要なことは、そこで得た強みが医療に活かせることだということです。例えば課外活動で「行動力」を得ることができた、と記載する場合、「行動力」が自分の将来の医師としての目標にどのように良い影響を与えるのか、それにより医学・医療にどのように貢献できるのかを説明する必要があります。この作業が意外とできていない人が多いです。自分の強みがどのように相手の求めるメリットにつながるか、を述べることはビジネスにおけるプレゼンにおいて重要です。自分の強みがどのように医学に活かせるかを相手に任せることは非常に損なので、「どのように医学に生かすか」という点まで考えておくようにしましょう。

 

3. 注意点

 ちなみに、医療従事者の志望理由で注意しないといけないのが、「医師批判になっていないか」という点です。面接官も医師である可能性が高いので、明らかな医師批判になってしまわないように注意を払いながら資料作成に臨みましょう。

 

 

以上になります。ご参考になれば幸いです。